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矢印の強さを取り戻す

5月20日、土曜日、札幌戦。

 

朝、スマホにFacebookから「過去のこの日」というテーマが届き、5年前の5月19日にホームでジュビロ磐田に1-6という大敗を喫したことを、半強制的に思い出させられたw

この試合後、サポーターに挨拶回りをする選手たちの後ろに、いつもならついてこない黒崎監督の姿を見て、

 

「ああ、クロさん、辞めるんだ」

 

と、瞬間的に察したのだった。(ちなみに、この試合でプロ初ゴールを決めたのは小林裕紀である)


それから5年経ち、あの頃と状況はよく似ているが、違うのは、今回は呂比須ワグナー新監督の初陣の日であるということ。5年前は、ヤンツーさんが新監督として初戦を迎えるまで1ヶ月近く時間がかかった。

 

あのとき、ヤンツーさん体制初戦の清水戦で1-0で勝ち、逆転残留までの第一歩を踏み出したわけだけれど、試合後のコメントで、清水のゴトビ監督が、

 

「監督交代直後というのは、ハネムーン期間のようなものだ」

 

と言っていた。思えば、5年前のヤンツーさんも昨年のフチさんも、監督交代初戦は勝利している。ハネムーン期間だからこそ、勝たなければいけないのだ。

 

 

 

 

この日は、選手バスの入り待ちが予定されていたので、早めにスタジアムへ。


新潟駅南口からシャトルバスに乗ると、札幌のゴール裏中心部メンバーらしき若手が何人か乗ってきて、太鼓も積み込まれた。
会話を何気なく聞いていると、東京在住組と札幌組がいて、札幌組はどうやら小樽から北海道航路のフェリーに乗って新潟に来たようだった。

 

「ずっと寝てましたよー」
「ゴメス出るかなぁ〜」

 

なんて言っている。あー、多分出ますよ、ゴメスは。

 

 

スタジアムに到着して、いつものようにサポ仲間とおしゃべりをし、会社の同僚ファミリーが試合ではなくEゲート前広場のフードコートを楽しみに来たので案内をし(次は「観戦したい!」そうです)、選手バス入り待ちへ。
ゆっくりと入ってきた選手バスは、右前の監督席に呂比須さんがいて、ロメロがサポーターをスマホで撮影している様子が見えた。

サポーターにとっても、もちろん選手たちにとっても、この時期に入り待ちをしなければならない状況になってしまったことは、本意ではないはずなのだ。だからこそ、選手たちにこの思いが伝わってほしい。届いてほしい。その思い一つだった。
(そして、その思いを真正面から受け止めてくれていたのが呂比須さんだったことを、後になって知ることになる

 


さて、試合。

 

呂比須体制になって、就任記者会見でもご本人が語っていた通り、新潟はシステムを替えてきた。

 


     武蔵

 

 ギュン ガリャ ホニ

 

   ロメロ  慶

 

ゴメス ジュフン カンペー 尚紀

 

     大谷

 


4-2-3-1。トップ下が入る形を見るのっていつ以来かなぁ。久しぶりだなぁ。


見ていると、これはガリャとホニのためのシステムなんじゃないかと思えるほど、ふたりがイキイキしていた。ガリャがトップ下が合うのはイメージ通りなんだけれど、ホニのサイドハーフが思った以上にハマった。
ホニがトップにいると、本当にタテだけ、という攻撃になってしまうのだが、サイドにいると斜めに切れ込んでくる。この動きは札幌は相当嫌がっていたんじゃないかな。
ギュンが前半途中で足を痛め、代わりに入ってきた森俊も、斜めに切れ込むドリブルが持ち味。タテ一辺倒から、こういう動きのバリエーションが確立されてくると、もっともっと得点の匂いがプンプンしてくると思うのだが。

 

呂比須さんは、わずか4日間のトレーニングで、キャンプで2ヶ月近くかけなければいけないことをやってきたわけで、それが戦術として浸透するのは難しい。
でも、呂比須さんのモチベーターとしての能力の高さを存分に感じられるほど、選手たちの動きが前節までとは違っていた。

 

陣形がコンパクトになったことで、選手同士の距離感がよくなった。距離感がいいから、ボールがこぼれたときに、近くにいる仲間が拾えるし、ミスをカバーできる。そして、守備から攻撃に転じるところで、全員のベクトルがゴールに向く。

 

以前、川崎の監督だった風間さんが、

 

「新潟の強さは矢印の太さ」

 

と言っていたけれど、あえて「新潟らしさ」という言葉を使うなら、この矢印(ベクトル)の太さ、強さなんじゃないかと感じた。
前節までは、その矢印がてんでバラバラな方向を向いていた。それを一つにまとめたところに、呂比須さんは「つかみはOK」といったところじゃないだろうか。

 

もちろん、まだまだなところはある。まだまだ肝心なところで傍観者になってしまう選手はいるし、札幌の拙さ、甘さに助けられた部分は多かった。
再三のセットプレーで、最も警戒していた都倉にヘッドで打たれてしまうシーンが続いたことも、きちんと改善していかなければいけないだろう。

 

それでも、みんなが粘り強く闘った。簡単にボールを失わないために、あるいはボールを奪い返すために、ひとりひとりが体を張った。そしてボールを繋げた。
それが、決勝ゴールに繋がった。

 

森俊からパスを受けたカンペーがドリブルを開始した時はビックリした。そして、絶妙なタイミングでのスルーパス(カンペーさん、かっけー)。
パスを受けたホニは、落ち着いて決めるだけだった。

 

 

この試合で、よかった選手もいたし、もう少しだなぁと思える選手もいた。クローザーの役割を持ってピッチに入ってきたマサルの、気の利いたプレーもよかったが、感銘を受けたのはゴメスだった。

 

下部組織から育った札幌を、札幌のJ1昇格というタイミングで離れる決断をしたというのは、本当に大きな覚悟があってのことだったと思う。この試合では、試合前のメンバー発表のときも、試合中にボールを持ったり、CKを蹴るときも、札幌のゴール裏からブーイングを浴びたが、

 

「成長したところを見せたい」

 

と語っていた通り、攻守に体を張り、新潟の選手として本当に頑張ってくれた。

でも、これがゴールではなく、あくまでもスタートラインなのだ。ゴメスもチームも。
頑張れ。
頑張ろう。

まだまだ先は長く厳しいけれど、勇気があれば闘える。

 

 

 

試合後、真っ直ぐ家に帰るのも何なので、観戦仲間と一緒に寺尾のくいしん坊へ。
店には同じことを考えていたらしい顔なじみが、何人もいた。
こんな日が、これからもたくさんあるといい。

author:ぐっちい, category:アルビレックス
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