2009年06月の記事 | ぐっちいのスポーツを読もう!
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25歳
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貴章の新潟残留が決まり、何だか、気が抜けるくらいホッとしたのだが、このわずか1週間の様々な出来事で、図らずも貴章の欧州挑戦への強い思いを思い知ることになった。

なぜそんなに焦って欧州に行こうとするんだろうと考えたとき、貴章が4月に25歳になったことに思い至って、2年前にジェブ・エンターテイメントのフットボールセミナーに参加したときのことを思い出した。


そのセミナーでは、稲本潤一が2006年8月にイングランドのウエストブロムウイッチからトルコのガラタサライへの移籍のケーススタディの講義があった。

当時27歳で脂が乗りきっていた稲本の移籍は、ガラタサライの監督が獲得を熱望したためスムーズに進むと思われていたのが、途中でガラタサライのスポンサーから「25歳以下の若手MFを獲れ」という横槍が入ったため、実現まで紆余曲折を経ることになった。
日本でも、25歳は何かとターニングポイントになりやすい年齢ではあるけれど、それは欧州でも変わらないということらしい。

新潟に移籍してきた頃はまだ21歳で、若い若いと思っていた貴章も、いつの間にか25歳になった。
一般社会では若くても、サッカーの世界では「伸びシロのある若手」扱いはしてもらえない。若手と中堅の分岐点にある25歳には、チャレンジに残された時間はそう多くない、という現実。
貴章がそんな自分の置かれた立場と、欧州で揉まれて逞しくなった長谷部と本田圭佑の姿に、何か突き動かされるようなものを感じても不思議ではない気がする。

スペインのセレクションリーグにエントリーをし、欧州クラブからのオファーも届いたというが、結局、貴章は新潟を選んだ。
そこには、W杯に出場するためには、試合に出て実績を残すのが最優先だからという、現実的な選択があったのだろうけれど、新潟で結果を出し続けるという道を選んだことで、貴章は自分自身に対する要求のハードルを上げたのだと思う。

ただ、レギュラーとして出場し続けるだけでなく、プレーの質、ゴールの数、そしてチームが優勝争いに最後まで絡み続けること。
それが全て望み通りに達成できたとき、また新たな道が、目の前に開けてくるはずなのだ。



今回、貴章が投げかけた波紋は、新潟にとってもいい経験になったのではないだろうか。クラブにとっても、サポーターにとっても。

契約満了選手の移籍金が撤廃される今年、契約満了の6ヶ月前から他クラブと移籍交渉ができるようになる。シーズンを闘いながら移籍交渉をする貴章のようなケースは、これからどんどん出てくるようになるし、それが当たり前になっていく。
そうなると、サニーサイドアップのような仕掛け上手のマネージメント会社を相手に、クラブも高度な交渉術が必要になるわけだ。
そして、Jリーグが春秋制を採っている以上は、欧州を目指す選手がシーズン途中で移籍を選択するのも、当然起こるものとして対処していかなくてはいけない。特に、春秋制を主張している新潟ならば、サポーターにもそれくらいの覚悟も必要だ、ということも教えてくれた。

これは、矢野貴章という、新潟から欧州へストレートにステップアップを目指す選手が育った幸せと同時に、サポーターにも意識の面でステップアップが求められている、ということでもあると思う。
新潟からアジアへ、そして世界へという言葉が、現実味をもつようになってきた今、選手たちの成長スピードに置いて行かれないように、サポーターだって変わらなきゃ、なのだ。
author:ぐっちい, category:アルビレックス
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名古屋戦とサッカー講座と
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昨日の名古屋戦は、マギヌンが復帰直後で試合勘が鈍っていたのか、精神的な未熟さを露呈して退場し、名古屋の両SB(ハユマとアベショー)がペドロと貴章を抑えられず、ワンちゃんとマルシオが自由自在に動き回り、よっぽどビッグスワンと相性が悪いらしい中村直志が交代し、千代がダヴィに完勝し、玉田も持ち味が出せなかったところで、新潟に負ける要素はなかった、そんな試合だった気がする。

試合内容の評価は、よそ様にお任せするとして(最近、こうやって手抜きをするようになった気がする。反省しますw)、ここでは、試合前に行われたサッカー講座のことを。

今回は、元サカマガのサッカーライター・大中祐二さん(そう、「あなたは越後の紅葉になるのです」という神のご託宣を受けてw、サカマガを辞めて新潟に移住してしまった、あの大中さんだ)に、FM PORTのパーソナリティー立石勇生さんがインタビューする、といった形式で始まった。

この立石さんが、最初から貴章の話題を持ち出したり、飛ばす飛ばすw
あまりしゃべりが得意な方ではない大中さんから、どんどん話を引き出していくテクニックは素晴らしかった。

話題は、ここまでのアルビの戦いを振り返りながら、どこがどう去年と変わったのか、今後への期待と課題は、ということから、貴章の移籍問題まで。

毎日聖籠で練習の取材をしている大中さんでさえも、今年がここまでよくなるとは思っていなかったそうで、
「(ここまで変わるとは)ビックリです」
というのが率直な感想のよう。そりゃそうですよね、サポーターだって内心ビックリしてるんだから。

ここで気になるのは日々の練習でどんなことをやっているのか、ということなのだけれど、
「毎日の練習は、基本的なことを繰り返していることがほとんどです。でも、その中で意識付けの仕方とか、選手たちを向上させている鈴木監督は本当に凄いと思います」

確かに、今季に入ってから2度ほど聖籠に行ったけれど、練習では特別なことをしているようには見えなかった。
ただ、千代とみっちゃんがCBのコンビ練習のときにディスカッションをしながら取り組んでいたり、選手同士のコミュニケーションが頻繁に行われている様子はよく見えていた。淳さんが特別に直接指導することはあまりないようだけれど、そういったチームの空気を作るチームマネージメントが、今のチームの基礎の部分になっていると感じる。

また、みっちゃんにプレビューのインタビューをしたときに、
「これは、そういう見方があるのか、と、ちょっと目からウロコでした」
という、みっちゃんの話を。

CB以外にやりたいポジションは?という質問に対して、
「試合を組み立てるパスを出すのが好きなので、ボランチはやってみたい。それと、大島さんみたいなプレースタイルでいいなら、センターフォワードもいいかな」
との答え。でも、センターフォワードだとDFに後ろからガツガツ来られて大変だよ?と言うと、

「大島さんって、物凄く巧いんです。一緒に練習してみて、正直あんなに巧い選手だとは思わなかった。ポストも安定しているし、足元が物凄く巧くて、前線でゲームを作っている。FWでもああいうプレーができるなら、センターフォワードもいいかなって」

大中さんとしても、「大島が前線で試合を作っている」というみっちゃんのサッカーの見方に、ハッとさせられたそうである。

やるな、みっちゃんw


で、最後は貴章のこと。

契約交渉の経過は、スポニチや新潟日報に出た記事の通りであること。
大中さんとしては、

「欧州ではFWであれば得点だけを求められる。守備の貢献とか、そういった他の部分は評価されない。そういった意味では、本当に厳しいと思います。僕としては、矢野選手は、もう1年は新潟で鍛えてしっかり準備して、W杯に出て、チームやサポーターのコンセンサスを取ってから移籍する方がいいと思ってます」

と、あまりにも性急に事を進めようとし過ぎている今の貴章サイドの動きに、懸念を抱いているようだった。
また、スポニチに第一報が出た日、大島が大中さんに、

「チームとしては困るけど、それと貴章の夢とは切り離して考えなきゃいけない。でも、フタを開けてみたらJリーグの他のユニを着ていた、なんてことになったら困る」

と語った話を聞いても、選手たちとしても複雑な思いでいるようだ。


今日の各新聞記事によると、昨日の試合後に、代理人から結論がクラブに伝えられる予定だったのが、貴章側の要望で今日に先延ばしになったという。
今日にも結論は出るのだろうが、愛されている貴章だからこそ、残るにしても、羽ばたくにしても、わだかまりを残すようなことだけはして欲しくない。
今望むことは、そういうことだ。
author:ぐっちい, category:アルビレックス
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とりあえず
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名古屋のマギヌンがイエロー2枚で退場になって、結果的に数的有利になったけど、悪くない勝ち方ではあったんじゃないかな。
ジャッジを巡るゴタゴタを除けば、面白い試合だった。

勲のケガの具合が気になるけど、マーカスがしっかり穴を埋める活躍。
千葉ちゃんも一瞬ボールウォッチャーになりかけたけど、頑張ってたしね。
久々の勝利給おめでとう、アトム。

まあ、何といってもワンちゃんですね。


今日はサッカー講座が面白かったし、15番タオマフをようやくゲットできたり、アコガレwのフレンドのイタリアンを食べられたり、なぜか2003年タイガース優勝記念Tシャツをもらったり、アルビJリーグカードを箱買いしたりと、何かと収穫の多い一日でござった。

くわしくはまた後ほど。


…あ、最後に一言。

貴章も、新潟でまだやったことがない1試合2ゴール以上を、ワンちゃんにまで先越されて、ハット決めてから欧州にチャレンジするなら、喜んで送り出してあげますよ。
author:ぐっちい, category:アルビレックス
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朝市
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アルビサポ農家のお父さん。
アウェイ費用は捻出できてます?
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名古屋戦を前に
明日は、「中位力」「優しさ80%」の大先輩たる名古屋さんに、

「申し訳ないが、これ以上そんな芸風を受け継ぐわけには行かねーぜ」

と、堂々と宣言するための試合にしなくちゃいかんのである!(ガッツポーズ)

そして、選手たちに、

「ACLを目指そう」

というサポーターの決意が伝わるような、そんなポジティブな未来指向の雰囲気を、90分間、スタジアムに充満させることができればいい。

誰か特定の選手にだけでなく、アルビに所属する、全ての選手に伝わるように。

そんな思いを抱き続けていれば、クレバーで思慮深い彼なら、しっかりと受け止めてくれるよ。きっとね。

さて、明日は、このタオマフを持って行くかな。

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交渉術について考える
今朝、スポニチの記事が出て以来、新潟での話題といえば貴章で固まってるわけだ(苦笑)

で。もう少しちゃんと今回のことについて考えてみると…。

貴章の移籍にまつわる話題は、今回が初めてではなく、昨オフに貴章が浜松に帰省中に、高校時代の恩師に対して、
「将来は地元でプレーしたい」
というコメントが静岡新聞に出て、それがジュビロ磐田のことを指しているのではないか、という騒ぎになったことがあった。
まあ、あれは、ホントにそういうことを言ったかどうかも分からないし、それっきりになっている話なので、大したことではない。

ただ、その時にも感じたのは、貴章のマネージメントをしているサニーサイドアップのニオイ。
これは、貴章に移籍願望があると匂わせることで先手を打ったんじゃないか、ということだった。

で、今度は海外移籍を視野に入れている、という話だ。

これもやっぱり、サニーサイドアップの仕掛けなんだろうなぁ。

貴章の契約が1年半という変則的な契約で、もうすぐその期限が来るのも確かだし、本人に海外移籍願望があるのも知られている。
要するに、クラブとの駆け引きとして、サニーサイドアップの方から仕掛けてきたってことなんじゃないだろうか。移籍願望をちらつかせれば、契約更新交渉に有利になるし、貴章が海外移籍したがっていると知られれば、それなりのアナウンス効果もあるだろう。
新潟には、エジを移籍金ゼロで浦和に持って行かれた苦い過去があり、サポーターから見ても、決して交渉術に長けているとは思えない部分があるだけに、足元を見られているんじゃないかという不安もある。

こうなると、クラブが過去の苦い経験を活かすことができるか、百戦錬磨のネゴシエーター相手にどこまで有利にコトを進められるか。他の選手たちに与える影響も考えると、ここはひとつ、フロントには頑張っていただきたい。

今の情勢なら、9割方は残留だろうとは思うけれど、ただ、残りの1割の方にコロッと転ぶことがあるのも交渉事の怖いところ。万が一交渉が難航してしまったら、
「新潟に思いのない選手はいらない」
と明言していた田村社長のこと、スパッと切り替えるかもしれないな、というヨカンもなくはないw

そこらへんのところ、今日、せっかく社長に会えたのだから、一言言えばよかったかも…と思うけれど、そこまでの度胸はなかったw
いや、ホントに頑張ってくださいよぉ。たぶん、今オフはもっと大変だと思うんで。
author:ぐっちい, category:アルビレックス
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名古屋戦前の一仕事
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新潟駅周辺でのホームゲーム告知チラシ配布・朝の部に参加してきた。

割り振られた場所は、万代口のバスターミナル向かい側のブラザービル前。
気が付けば田村社長と一緒w

おかげ様でテレビカメラは社長に張りついていたので、あまり映らないで済んだ、気がする。いや、映ってないでくれw

通りかかる人の反応は、まぁ、こんなもんかなぁ、という感じではあった。
一人でも多く、名古屋戦に来てくれるとよいなぁ。


もしかしたら、名古屋戦が貴章の送別ゲームになる可能性もある。
まだ、動向を見守るしかないけど、うーん、海外への夢を果たしてほしい反面、まだ快く送り出せるほどの心の準備ができてないんだよ。
author:ぐっちい, category:アルビレックス
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ネコは会話する
東京へ行った日曜日は、往復の新幹線の中でずっと本を読んでいた。
何しろ、行きの新幹線の指定席がMAXときの1Fだったので、景色が見えないもんだから本を読むか寝るくらいしかすることがないのだw

こういうとき、片道約2時間の新幹線というのは、読書をするにはまとまった時間がとれるのがいい。おかげで、読みかけていた本を読み終えることができた。

で、読んでいたのが、「岡田武史監督と考えた『スポーツと感性』」という本。

スポーツ心理学とか脳科学とか、そちら方面からのアプローチでスポーツを考えた本。「感性ラボ」主宰の志岐幸子さんと岡田監督の対談を中心に、様々なアスリートの実例や発言から、ベストパフォーマンスはどうやったら生まれるのか、とか、ゾーンとは、などなど、面白い話をしている。
中でも、
「監督にもゾーンはあるのか」
という話は、特に興味深かった。

岡田さんはマリノス監督時代から、脳科学やスポーツ心理学の観点から選手全員にビジョントレーニングを課したりしていたので(ビジョントレーナーの野澤さんによれば「ビジョントレーニング=メンタルトレーニング」なんだそうだ)、その方面の造詣が相当深い人なんだろうなと思っていたが、実際に読んでみて、なるほどねぇ、と思った。
興味のある方は、ぜひご一読を。

その中で、本題とは離れたところでネコの話が出てきたのだけれど、これがちょっと面白かった。
岡田家では犬とネコを2匹ずつ飼っていて、岡田監督曰く、

「ネコを飼い始めるとき、ネコを飼っている知人に『ネコは会話するんだよ』と言われたんですけどね。本当にネコは会話をするんですよ」

例えば、ある日、岡田監督が帰宅すると、玄関まで出迎えに来たネコが、風呂場の方を見ながら「ニャー」と鳴く。
おや?と思って見てみると、そのネコがいつも水を飲んでいる風呂桶が空っぽ。
「あぁ、風呂桶に水が入ってないのか」
とネコに言うと、監督の顔をジッと見つめながら、「ニャー」。

確かに、見事に会話が成立している、というわけ。

ネコ話でそこまで熱く語る岡ちゃん。ちょっとカワイイじゃないかw
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Jリーグチップスを買ってみた
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松浦と深井。

ちっちゃいものクラブですか、これはw
author:ぐっちい, category:モブログ
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IRB U-20世界選手権を見に行く
BSでガンバ戦勝利を見届けた翌日、久しぶりに東京へ。
実際には3月に味スタへ行っているから、超久しぶり、というわけでもないのだけれど、まあ、あれはバスで味スタへ行って帰ってきただけなので、東京へ行った部類に入らないw
久々に新幹線に乗ったので、朝食として、私的定番の「鮭の焼漬弁当」を食べる。うまー。

11時過ぎに東京に到着したときには、土砂降りに近い雨。信濃町駅から秩父宮ラグビー場へ行く道すがら、物凄い人出で、まさかみんな秩父宮へ?と思ったら、何のことはない、神宮でヤクルトvs西武があるのだったw
しかし、この雨で野球できるの?

野球ファンでごった返す神宮球場の構内を突っ切って、たどりついた秩父宮ラグビー場。
U-20世界選手権の3位決定戦と決勝ということで、高校生集団が多いせいか、客層がいつにも増して若い気がする。そして、外国人客が多いのも国際大会ならではだね。

スタンドに入ると、フィールドでは、3位決定戦に出場する南アフリカとオーストラリアの選手たちがアップを始めていた。ちょうど目の前で練習していたのが南ア。
体は大きいが、顔つきを見ると、やっぱりみんな若い。当たり前だけど。

試合が始まると、割と個人技勝負してくるオーストラリアに対して、パーフェクトな組織力でそれをいなす南ア、という構図の様相になった。
オーストラリアは個人でまず突破を図るが、パス回しが単調なので、簡単に南アのディフェンスにひっかかる。おまけに雨ということもあって、ハンドリングエラーがやたらと多い。チームとしての完成度は南アが上だった。
南アはとにかく選手たちが落ち着いていて、オーストラリアのスピードにもしっかり対処していたし、攻撃もSOクロニエを中心に、オーストラリアディフェンスのギャップを巧みに突き、順調にトライを重ねていた感じ。チームの軸がしっかりしたラグビーをしていた。オーストラリアはまだまだ荒削り。
いやー、それにしてもクロニエ君。イケメンだわ。いつかフル代表のメンバーとしてW杯に出てくるだろうから、今のウチにチェックしとこw

というわけで、試合は32-5で南アが勝ち、3位決定。


そして、ニュージーランドvsイングランドの決勝。
試合前練習で両チームの選手が出てきたとき、ビックリしたのが、イングランドFWのデカさ。
6番があまりにも大きいのでプログラムを見たら、201cm(!)。2m超のFLですよ。日本だったらほぼ間違いなくLOをやらされる身長だ。それ以前に、ラグビーじゃなくてバスケかバレーあたりに持って行かれそう。
で、動きを見てみたら、2mとは思えない俊敏さ。そりゃそうだよね。俊敏さがなければFLなんてできないし、そもそも代表に呼ばれないだろう。こんな選手がいるなんて、すげーなイングランド。奥深すぎるぜイングランドw

キックオフ直前には、お約束のニュージーランドによる「ハカ」。



全員で肩を組んで待ち構えるイングランドフィフティーンに対して、噛みつくような形相でハカを演じるニュージーランドフィフティーン。このド迫力に、スタジアムの雰囲気は一気に最高潮だ。
ハカを生で見るのは久しぶりだけれど、何度見てもカッコイイ。

試合は、大型FWを中心に組織力で闘うイングランドを、圧倒的な個人技とスピードで凌駕するニュージーランド、という展開に。
イヤ、凄いですよ、あのニュージーランドのスピードは。SOやCTBがイングランドのディフェンスラインのギャップを突いてチャンスメイクすると、あっという間に抜け出してくる。BKだけでなくFWもよく走る。そして、パスが繋がる繋がる。ハンドリングエラーが目立ったイングランドと比べても、そのパスワークの正確さと意志疎通の素晴しさが際立った。
どんなに苦しい態勢でも、あるいはスリッピーな芝状態に足を取られたり、相手タックルを受けたりして倒れても、倒れきる寸前にパスを繋げる。で、繋がっちゃうんだな、これが。
ボールを持った選手は、味方が必ずサポートに来てくれると信じているし、サポートする側も、必ずパスが来ると信じて走り込んでいる。
まさに、パスの出し手と受け手の間に血が通っている、そんな感じだ。

ニュージーランドのスーパープレーは、攻撃だけでなく守備でも発揮された。ニュージーランドのFBロビンソンが、イングランドのトライになりそうなところをインゴールでトライセービングタックルを決め、ボールを逆に奪い取ったのだった。
トライセービングタックルって、一昨年のW杯で箕内がやったのをテレビで見たけれど、それ以上のインパクト。あんなプレーができるんだなぁ。凄い。

劣勢のイングランドも、後半に入ると大型FWで優位に立ち、何とか反撃を試みるが、出足の速いニュージーランドディフェンスの前にミスが多く、FW戦の優位を活かせなかった。
あのトライセービングタックルがなかったら、試合はもう少し拮抗したかもしれない。それだけに、あのロビンソンのプレーは、試合の流れを大きく左右するビッグプレーだった。

最終スコアは44-28。ニュージーランドの研ぎ澄まされた強さが印象に残った。

試合後の表彰式では、ニュージーランドの選手たちが上半身裸になり、「勝利のハカ」を披露してくれて、また盛り上がった(上半身裸になったのを見て、思わず日体大の「エッサッサ」を連想してしまったなんてナイショだw)。
雨にもかかわらず7割方埋まったスタジアムの雰囲気もよく、
「イーングランドォ!」
と大声を張り上げるイングランドファンのおじさん(ばりばり日本人)がいたり、それにつられて周りも手拍子したり、イングランドサポーターがチームを鼓舞する「Swing low」を歌い出したり、白人のお兄さんが日本人に英語で話しかけられて、
「あっ、そーなんスか!」
と超ネイティブな日本語で答えていたりw、久しぶりの秩父宮は、雰囲気も、目にする光景も、秩父宮らしさに満ちていた。

ユースとはいえ、世界一を争うチャンピオンシップを2試合も堪能できて、ハカを2度も見られて、それで自由席1,500円って、コストパフォーマンスが凄すぎだろう。往復新幹線土日きっぷ代もキレイにペイした気分である。あぁ、幸せ。
さて、次はいつ来ようかな。

全てが終わってから、宮崎人の友人と一緒に行った有楽町ガード下の店は、宮崎料理専門店。
そこで食べたチキン南蛮も冷や汁も水茄子のお刺身(茄子のお刺身なんて初めて食べたよ)も鶏軟骨の唐揚げも、いいものを見せてもらった1日の締めにふさわしい、うれしい美味しさだった。


ところで、2試合を通じて注目していたのは、モール戦法について。
モールを引き倒す守備が禁止になって、ガチの世界大会ではモール戦法が復活するのかな?と思っていたら、2試合とも予想以上にモールが少なかった(イングランドはやってたけどね)。
やはりELV効果か、パワープレーに頼らず、フィールドの幅を目一杯使うランニングプレーが、世界基準になっている印象を受けた。
…と思ったら、夜、帰宅してから見たNHK「サンデースポーツ」では、同時刻に札幌で行われていた春の早明戦の映像が出てきて、ゴリゴリのドライビングモールをやっている様子が出た。うーん。こっちではそうなのね…。
author:ぐっちい, category:ラグビー
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