- 潮目を変える
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2016.07.26 Tuesday
7月23日(土)、アウェイ大宮戦当日。
私は焦っていた。
試合日に必ず身に着けることにしている、アルビバージョンのアイスウォッチが、よりにもよって電池切れしてしまったのだ。
これはまずい。縁起でもない。何が何でも、キックオフの時間までには、電池交換を終えなければならぬ!
というわけで、仕事を終えてからバイパスを突っ走り、アピタ新潟西店のサービスコーナーに飛び込み、ヒマそうにしていた店員さんに向かって、
「で、でででで電池交換お願いします!」
と、前のめりで時計を預けたのが、18時45分。
「あ、10分くらいで出来上がりますよ。…あ、ここ、20時までなんで、それまでには取りに来てくださいねぇ」
いや、だから、19時までには取りに来ますから!!
そして、ちょっと店内をウロウロしてから、サービスコーナーに戻ったのは18時55分。電池交換は無事に終わっていた。ふぃー、ギリギリだったぜ〜〜〜。
万が一、電池交換がキックオフに間に合わず、十万が一、大宮に負けるようなことがあれば、これは自虐ネタにするしかないなぁ、なんて思っていたので、とりあえずホッとしたw
とにかく、相手が大宮で、しかも渋谷監督が前節の試合後に審判団に暴言を吐いたということで今節はベンチ入り停止処分になっており(渋谷監督がそういう行動を取るとは驚いたが、よっぽど腹に据えかねるジャッジがあったのだろう)、監督代行がよりにもよって黒崎さんである。
これは、何が何でも負ける訳にはいかない。黒崎さんに引導を渡されるなんてことはあってはならない。しかも、家長もケガで不在なのだ。
勝つためには縁起でも何でも担ぐし、不安要素は一切払拭しなければいかんのだ!…などと、現地に行ってない組としては、どうでもよさそうなことでも、ムダに闘ってしまったりするわけであるw
で、肝心な試合は、立ち上がりから新潟が主導権を握り、チャンスも多く作っていたのだが、得点に結び付けられないでいるうちに、大宮の江坂の、狙ったんだかたまたま入っただけなのか分からないようなループシュートが、ゴールに吸い込まれてしまう。
この「あるある」な展開は、どういうことかw
しかし、ここから選手たちは落ち着いていたし、慌てずに自分たちのやるべきプレーをしっかりとやっていた。その落ち着きをもたらしていたのは、守田がどっしり構えていたことと、カズとマイコー、裕紀が慌てなかったことだろうか。だから、先制されても主導権を明け渡すことなく、反撃のチャンスを伺っていた。
後半、達磨さんは早め早めに交代策を打つ。ギュンOUT→武蔵IN、成岡さんOUT→優汰IN。ここがターニングポイントになった。
優汰が入ってからすぐ、裕紀が相手のパスをカットし、右サイドに張り出していた優汰にロングパスを出す。優汰がドリブルで大宮の左サイド深く持ち込み、クロスを上げると、相手DFに当たって角度が変わったものの、ゴール前に飛び込んでいたラファが、ヘッドでゴールに叩き込んだ。同点。そしてさらにその2分後、裕紀からパスを受けたガクが中へ持ち込み、切り返しで相手DFを転ばせてシュートコースを作り、得意の左足ではなく右足で巻くようなシュートを放つ。これがポストに当たってゴールイン。逆転!
ガクを見ていると、体幹が強くて体の軸がぶれないというのは、素晴らしいなぁといつも思う。だから、ガクのシュートは、全体重をボールに乗せているような威力を感じるのだろう。
聖籠へトレーニングを見に行ったら、ぜひガクのシュート練習を観てほしい。何が違うって、まずインパクト音が違う。ズドンという感じの、重い音がする。あんなシュートは新潟ではほとんどお目にかかったことがない。シュート練習だけでお金が取れる。その後、1度だけ訪れた決定的なピンチも、守田のスーパーセーブで凌ぎ、2-1で試合終了。あぁ、勝った。今季初の逆転勝ちだ。潮目を変えるなら、今しかない。
翌日、シンガポール代表とのトレーニングマッチを観ながら、相方がしみじみと言った。
「昨日のクロさんの采配を見ていて、最初のプランが崩れたら手詰まりになるところが、新潟時代と変わってないな〜と思った」
あ〜〜〜、そうだねぇ。どこかで見た光景だなぁと思ったよ、確かに。
そして、翌日。
ビッグスワンでは、新潟でキャンプ中のシンガポール代表との国際親善トレーニングマッチが行われた。シンガポール代表がどの程度のメンバーだったのかは分からないのだが、W杯予選で日本代表とスコアレスドローを演じたときと同じGKだったので、まぁ、それなりのメンバーだったのだろう。
試合は暑さと疲労を考慮して、35分ハーフで行われたのだが、その大半が新潟のハーフコートゲームの様相を呈していた。
当然、大宮戦のスタメン組は欠場なので、サブメンバーやベンチ外組が出場し、そこに新潟医療福祉大学の選手が入るという顔ぶれだったのだが、特に前半はシンガポール代表を圧倒し、豪、イブ、カリウのゴールで3-0。
後半はマツケンがCB、竜馬がボランチなどポジションを変え、大学生も投入するなど、様々なチャレンジがあったので、得点はなかったけれど、ピンチらしいピンチもなく、そのまま試合終了。
その試合を某方に報告すると、
「GKは(日本代表戦と)同じイズワンだから、日本代表よりうちは決定力があるってことになりますね」
という返事が届いた。
いや〜、確かに!w
- ミスを恐れず、勇気を持って
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2016.07.20 Wednesday
気がつけば、ブログを更新しないうちに2試合終わってしまっていた(汗)
いや、別に現実逃避をしていたわけではないんですよ、こんにちは。
川崎戦は誤審云々がクローズアップされてしまったけれど(あ、最後の小林悠のゴールは何度見てもどう見てもオフサイドで、それがJリーグノミネートゴールに選出されるというのは、非常に困ったことだと思う)、崩され続けた右サイドを最後までケアできなかったツケが、勝ち点を失うという結末に繋がったということは、きちんと検証してもらいたい。
で、仙台戦。
この試合に対する仙台の狙いは、試合前のコイントスからすでに感じ取れた。
コイントスに勝った仙台が、サイドを変えてきたのだ。
風があまり吹いていない状況だったし、ナイトゲームだから太陽の位置も関係ない。
サイドを変えるメリットは、前半を仙台サポーターの方向へ攻撃できる、ということだったのではないか。サポーターの大声援を正面から受けて攻撃し、新潟の守備陣にプレッシャーを掛ける。前半に先制点を獲って試合の主導権を握る、という狙いを感じていた。立ち上がりから、両チームとも丁々発止のぶつかり合いが見られ、一歩でも引いたほうが負けという、いかにも仙台戦らしい試合になった。
新潟は試合の入りがよく、前半の前半に訪れたいくつかのビッグチャンスを決めていれば、試合は新潟のものになっただろうと思うのだが、そこを決められないのが、今の苦境を招いている。やはり、この試合のポイントは、仙台のダブルボランチ、富田と三田をどう潰すかということだったんじゃないかと思うけれど、ここを自由にさせてしまったことが、試合の流れを変えてしまった気がする。
いやー、あの2人、効いてたなぁ。三田はFC東京からレンタルだけれど、仙台に来てよかったんじゃないかな。FC東京では薄れかけていた、大学時代の曲者的雰囲気が戻ってきてるもん。前半は、それでも、ほぼ新潟ペースだったので、前半のうちに先制点が欲しかったが、仙台にチャンスらしいチャンスを作らせなかったディフェンスは、まずまずだったと思う。
しかし、仙台は「vs新潟」の戦略、「新潟相手にはこれをやっておけば大丈夫」というものを持っている。
新潟のディフェンスは、実はカウンターに弱い。サイドに振る、あるいはボランチとCBの間を狙う、これをやれば新潟は崩せる、ということを、過去2度の対戦とスカウティングで、自信を持っている感じなのだ。先制点を許したシーンは、アンカーの裕紀がウィルソンを潰す守備ができなかった。2失点目は、新潟の左サイドを突破され、コルテースとカズが戻ったものの、2vs1の数的優位を活かして挟み込むというプレーができず、ゴールを割られた。
それぞれのシーンで、相手とボールに対して体を張って守ることができなかったのが、全てだったと思う。恐らく、PKを得ながら失敗したギュンに非難の矛先は向かってしまうのかもしれないが、あれだけ攻守に体を張って、献身的なプレーを続けていたギュンが、自ら得たPKを止められてしまうとは、サッカーとは残酷なものだ。
だからこそ、乗り越えなきゃいけないんだけれどね。
交代枠の使い方など、負け試合だから、いくらでもアラ探しはできるし、課題は多いが、大きな収穫のひとつが、野津田の存在感だったのではないかと思う。
川崎戦での移籍後初ゴールは、やはり自信になったのだろうな。
周りと連動できるようになって、野津田の持ち味が表に出てくるようになった。さらに、CKのキッカーとしての能力の高さは、マイコーの同点ゴールを引き出したシーンにもよく現れていた。
チームにフィットしてきたところで、8/1〜最大8/13の間、リオ五輪のバックアップメンバーとして帯同しなければならないのは、ちょっと残念すぎる。もちろん、野津田の不在=マサルのリベンジチャンス、ということになるわけだ。
川崎戦と仙台戦を見ていて、痛感したのは、焦る選手たちに対して、「焦るな、ミスを恐れるな、勇気を持て」
というメッセージを、どう伝えたらいいだろう、ということだった。
失点したからといって、まだ時間はある。もう一度落ち着いて、ゲームを作り直せば、まだまだチャンスはある。
そんなポジティブなメッセージを、ピッチに向かって発信したい。そして、必要以上に選手たちが、
「史哉のために勝たなければ」
という意識でがんじがらめになるのも、見ていて辛い。2004年に中越地震が発生した直後、「被災地のために」という言葉に本来のプレーができなくなってしまったチームを思い出してしまう。
ただでさえ、サポーターの数百倍も、彼らは史哉のことを背負い込んでいる。そこをもっと楽にしてあげられないか、と思うのだ。
史哉のためにではなく、自分たちのためにサッカーをやってくれ。心からそう思う。チームメートたちの勇気あふれるプレーが、史哉に生きる勇気を与えるだろう。だから、選手たちには勇気を与える応援がしたい。
罵倒や誹謗中傷からは勇気は生まれない。
この苦境を乗り越えるために、自分に何ができるかを、しっかりと考えて行動していきたい。悔いを残さぬように。
- 「腹にイチモツ」が新潟を救うのだ
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2016.07.11 Monday
湘南戦はいろいろとイベント盛りだくさんだったので、始発のシャトルバスでスタジアムへ。始発のシャトルバスはアルビのラッピングバスに乗れるという特典があるのだけれど、やってきたバスは新デザインのものだった。
ラッピングに登場している選手の中には、水戸にレンタル移籍したばかりの宗の姿もあったりするので、いかにあの移籍が急に決まったものだったかを感じさせるデザインになっているのだった。まず「ラランジャ・アズール」第2号を引き換えに行くと、ガラポン抽選があるというので1回やってみると、4等。4種類のポスターから1枚選べるという。見ると、レオ、守田、慶、マツケン。
「いやー、これは選べないなぁ!」
と思わず呟いたら、スタッフの人に笑われた。とりあえず、レオをいただく。
そして列柱廊でみんなとよもやま話をし、17時頃になってから、選手バスの入り待ちのために正面玄関方面へ。沢山の人出だったのだけれど、ふと見ると、道路を挟んだ向かい側にえのきどさんとMさんが立っていた。あららら。
選手バスは、本当にゆっくりと、「アイシテルニイガタ」を大合唱するサポーターの中を通ってスタジアムの中へ入って行った。最前列の右側の監督席にいる達磨さんが手を振っている。
選手の中では、野津田にとっては移籍後初めての経験だったはず。彼の目に、サポーターの姿はどう映っただろうな。
さて、試合。立ち上がりから、主導権は新潟の方が握っていて、チャンスもどちらかと言えば新潟の方が多かったと思う。湘南は攻撃に怖さがなく、流れの中で点を獲られる感じは、正直薄かったと思うのだ。
特に、贔屓目抜きにも裕紀の状態の良さが感じられ、全体が見えているパスワークが冴えていたし、セカンドボールの奪取にも貢献していた。その流れが急に変わったのが、前半30分になる少し前、裕紀が接触で鼻血を出して、止血のためにピッチ外に出たあたりからだった。
なかなか治療が終わらず、しばらく新潟は10人で闘うことが余儀なくされる。裕紀が戻れない間、新潟の選手たちに慌てたような、浮足立つような雰囲気があったのだ。
それだけ、裕紀の存在が大きいということなのだろうけど、その浮足立った感じは、裕紀がようやくピッチに戻ってからも、なかなか解消されなかった。どこか、フワフワしている。
ちょっとこれはマズイぞ、しっかりしろ、と思った矢先、ギュンがファウルを取られて与えたFKで、その「イヤな予感」が的中してしまう。
誰も競りに行かないまま、アンドレ・バイアにどフリーでヘディングをゴールに叩きこまれてしまった。この試合では、湘南に流れの中で与えた決定的なチャンスは、前半アディショナルタイムに高山に抜け出され、守田との1vs1になったシーンくらいだったと思うのだ。
その大ピンチも、守田がどっしりと動かず、落ち着いてシュートをブロックしたことで救われた。その後も、折角のチャンスも、雑なプレーであっさりと手放す。中でも、マサルとマイコーにそれが散見され、レオもコンディションに問題があるのか、どこか集中力を欠いていた。
裕紀、カズ、守田が終始落ち着かせるようなプレーをしていたので、それ以上破綻せずに済んだのは、この試合で見られたポジティブな部分ではあると思う。
一時期、不安定なプレーを繰り返していた頃はどうなるかと思っていたけれど、この3人は壁を乗り越えたなぁ。次はマサルとマイコーの番だと思うぞ。チャンスの数は、新潟の方が恐らく多かったのだ。しかし、1点リードして、新潟のスペースを消すためにがっちりとブロックを作った湘南の守備網を崩し切ることができない。
バイタルエリアへ持ち込めても、その先で手詰まりが起こる。アドリブを利かせられる選手がいない。こんな時、現状を打破するきっかけを作れるようなプレーができる選手は、成岡さんのような、ピッチ内で他の選手と違うことを考えられる「腹にイチモツ」(たぶん成岡さんは10モツくらいは持っているw)タイプで、本当は成岡さんを使って欲しかったのだが。
やろうとする狙いや戦術を、一生懸命遂行しようとするピュアさは、新潟の選手たちのいいところではあるのだが、もっと上を目指すためには、それが足かせになっているようにも見える。
恐らく、「腹にイチモツ」タイプは、成岡さん以外にも裕紀や豪もその分類に入る。ギュンにもそのニオイはするが、この3人に比べたらピュアさの方が勝っている。コヅもこのタイプになれそうなんだけど、今はまだまだ無邪気なんだよな。
いわゆる「新潟らしさ」とは対極にある、こういった選手たちを取り込んでいくのは、実はとても重要なことで、裕紀が戻れなかったシーンでも、全員が浮足立つのではなく、ひとりでもクールな頭を持った選手がいれば、と思ってしまう。
(実を言うと、達磨さんもまだピュアさの方が表に出てくることが多いかな、という気もしているのだ)ちなみに、私が勝手に「腹にイチモツ」認定した3人には、成岡さんと裕紀はジュビロ育ち、裕紀と豪はヴェルディユース育ちという共通項があったりする。
「健全な腹黒さ」が育つ土壌というかサッカー文化は新潟にはないものだから、こういう選手がしっかりと能力を発揮できる環境を作っておくことは大切だなと、なんだかしみじみ痛感する。
で、この試合が「今季ワーストゲーム」かというと、自分の中では全然そうではなくて、私にとっては、これ以上のワーストゲームはないだろうと思っているのはアウェイ名古屋戦なのだ。
でも、今はチームに求めている基準が当時より間違いなく上がっているので、この湘南戦は「2ndステージのワーストゲームはあれだったね」と振り返ることができるレベルに、これからどんどん上がっていくしかないだろ!ですよ。いや、本当に。
- 柏戦翌日の聖籠にて
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2016.07.06 Wednesday
柏戦当日は、家で留守番をしなければならず、昼間はJ-SPORTSでスーパーラグビーのサンウルブズvsワラタスを観戦したものの、柏戦キックオフの時刻には家事でテレビの前に座ることができず、ようやく試合を見始めたのは後半に入ってからだった。
今年の柏戦はナビスコカップも含めてこれで3戦目になるのだが、達磨さんをはじめとした因縁深い試合ということもあるし、似た者同士ということもあって、いつも熱のこもった試合になる。同じ熱でも、対戦相手(どことは言わないけど)によっては、ラフプレーが増える、ということに繋がったりもするのだけれど、柏にはそういう意味でのストレスは感じたことがあまりない。
そしてこの日も、お互いにチャンスを作り、攻め合う熱戦だった。むしろ、新潟の方がチャンスの数は多かったかもしれない。
新潟はここ3試合の守備の安定が本物になりつつあり、“帰ってきた”クリスティアーノやディエゴ・オリヴェイラといった強力ブラジル人選手にも決定的な仕事をさせず、賢く守れていた。マイコーと裕紀のミドルパスやロングパスを中心にしたビルドアップもしっかりできている。あとは点を獲るだけなんだけどなぁ。これは、このままスコアレスドローになるのかと思い始めた後半27分、思わぬ形で失点してしまう。
カズがファウルを取られてFKとなり、ゴールから少し距離のある位置からクリスティアーノがゴール前に絶妙なボールを入れる。シュートを守田が弾いたものの、それがカバーに入ろうとしていたマイコーの足に当たり、オウンゴールになってしまった。あまりにも不運。
誰も責められない、運がないとしか言いようがない失点だった。その後も、追いつくべくチャンスを作り出す新潟だったが、最後の最後での迫力を欠き、柏GK中村航輔の好守もあって、ゴールを割ることができなかった。
0-1。
うーん、悔しい。悔しすぎる。
試合後、マイコーは下を向き気味だったけれど、マイコーは悪くない。前を向いてくれ。
やはり、チャンスを作りながら得点まで至れない、ゴール前のアイディアの部分をさらに向上させるしかないんだな。ラファが復帰したし、そこをブラッシュアップさせていかないと。
翌日、リカバリートレーニングを観に聖籠へ足を運んだ。
霧雨が降るコンディションだったこともあるけれど、またもや見学者一番乗りをしてしまったw(狙っているわけではありません)
そして、またもや安田コーチともっくんに挨拶されてしまった(決して狙っているわけではありません)。柏戦のスタメンとラファがリカバリーのランニング。選手たちの表情はリラックスしていた。
何周か走った後、手締めで終了となり、クラブハウスへ戻る選手、ファンサゾーンに立ち寄る選手がいる中、裕紀はひとり、ドリブルをしながらゆっくりとランニング2周。昨日の試合を反芻しているのだろうか。
今年、あまり聖籠へは行けてないのだけれど、裕紀のこういうストイックな姿を見るのは初めてだった。よしよし、いい傾向ですwそして、イブがキタジコーチと話し込んでいる。昨日のプレーについて話しているのだろうか。
そして、Aピッチには柏戦のサブ組とメンバー外が集まり、通常のトレーニング。
ここで圧巻だったのが最後のシュート練習で、右サイドからマツケンと優汰、左サイドから前野とノリがクロスを入れる。マツケンと優汰のクロスの精度が素晴らしく高く、胸のすくようなナイスゴールがいくつも生まれた。
中でも、野津田のシュート力の高さは、何度観ても素晴らしい。正確な上に速くて重いシュートがネットに突き刺さるのだ。これを試合で観たい。柏戦の前に、リオ五輪最終メンバー発表があり、新潟から候補になっていた武蔵もマツケンも野津田も、18人には入れなかった。バックアップメンバー4人の中に、武蔵と野津田が入ったものの、基本的にはバックアッパーは不測の事態が起こらない限りは五輪に出られないし、それでも大会期間中(8/1〜最大13日まで)は帯同しなければならず、Jリーグにも出られない。
バックアッパーに入ったことが、武蔵と野津田にとって何をもたらすのかは分からない。むしろ、バックアッパーにも入らなかったマツケンの方が、Jリーグに出られる分、気持ちを切り替えやすいかもしれない。
しかし、出場できるJリーグの今月中の試合で、力を見せるチャンスはある。それは、五輪終了後も続くのだ。毎日のトレーニングに真摯に取り組む姿勢が、次のチャンスを切り拓く。
ひとりひとりの気持ちが伝わってくるトレーニング風景が、チームに、そして彼らのサッカー人生に最高の結果をもたらすことを願わずにはいられない。